設立趣旨
 




「子どもの発達支援を考えるSTの会」

設立の趣旨

 療育・相談機関、病院、また、市町村の1歳6か月健診・三歳児健診などで、幼い子どもにかかわるSTがふえてきました。発達になんらかの問題を持つ子は、「ことばの遅れ」が相談のきっかけになることが多いため、STが会う子どもの中には「障害」とも「障害ではない」とも決められない、いわゆるグレーゾーンの子も、多く含まれます。

 また、最近関心が高まっているLD、ADHD、自閉症スペクトラム(自閉症圏障害、広汎性発達障害)などの子どもたちのコミュニケーション支援において、STが大きな役割を果たすことができることは、明らかです。

 にもかかわらず、日本では、まだ、STとしての安定した継続相談の体制が整っておらず、きわめて不十分なフォローだけで子どもとその親とを支えざるをえない現状があります。

 子どもの状態を把握し、お母さん・お父さんの理解を得つつ、子どものよりよい発達を支えてゆくために、誰と手を組み、何をすればいいのか、現場にいるSTはみんな、悩みながら、手探り状態で、臨床を続けています。

 STの配置は都市に偏っており、地域差がとても大きいのが実情です。人的資源の乏しい地域性を逆手にとって、保育園や幼稚園、母子保健の関係者など、他職種と連携しつつ、広く親子を支えるという考え方で成果をあげているSTも数多く存在します。そういう人たちの経験を知ることによって、STとしての仕事の範囲を広げてゆけるかもしれません。

 子どもの領域で長く仕事をしてきたSTの中には、豊かな経験やすぐれた力量を持つにもかかわらず、言語聴覚士の国家試験に際しては、非常に不利な立場を余儀なくされている人も多く見受けられます。

 この会は、ST資格の有無にかかわらず、実際に子どもの発達支援の現場にいるSTたちが、必要な情報を交換し、お互いの知恵やノウハウを共有してゆくための“ひろば”となることをめざしています。日本のどこに住んでいても、等しく、ことばや発達についてSTに相談でき、継続的な発達支援を受けられるようなSTネットワークを作ってゆきたいものです。

 この会をひとつのよりどころとして、STに寄せられる社会からの大きな期待を知り、自分たちにできることを考えてゆければと思います。

親子の初期のコミュニケーション改善を手助けし、その後の−−−−−
しあわせな人生の基礎をつくるために役に立つ職種として−−
STが認知され、質・量ともに広がる一助になりますように。

中川信子(フリー)
田坂和子(2016年逝去) 
鈴木弘二(事務担当)

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 会設立にあたり、STにゆかりの深い(お二人の医師)柴田貞雄先生と田中美郷先生より「おことば」をいただきましたので、以下にご紹介させていただきます。

「子どもの発達支援を考えるSTの会」に期待する

柴田 貞雄(国立身体障害者リハビリテーションセンター顧問)

 乳幼児期のこども達を見ていると、こども自身からエネルギーが強烈に発露されてくることをひしひしと感じる。全精力が溢れ出て来る。このような無形・未分化といえるエネルギーの根源は何か、また何がそれを駆り立てているのか、それは認識と言語ではないのかと思う。言語発達遅滞のこどもではそのエネルギーの方向が偏っているか、エネルギーの内発が乏しいのではないかと思える。

 言語発達遅滞を担当するSTは児の生涯に関わる重大な局面に立ち会い、その役目を果たすことを強く求められている。児に対してどういう「言語」のアプローチをすれば生命的エネルギーが内発し、迸るのか、徹底して方法論と方策を具体的に詰めていくことを通して、である。

 一人のSTが担える児は僅かな数である。だから言語発達促進の要諦を押さえたSTが、潤沢にいて欲しい。また、児にはSTだけでなく、その他の専門家のかかわり総体が不可欠である。児は、より濃密でより包括的な介入を求めているのである。

 この新しい方式の会が、物珍しさに終わるのではなく、言語発達臨床の進歩・発展・拡大のKEYになって欲しい。この会に期待したい。STの価値を高め、その存在理由を確固たるものにするためにも。

☆ ☆ ☆

田中 美郷(帝京大学名誉教授・田中美郷教育研究所所長)

 私は子どもの聴覚言語障害に関心を抱いて四十数年になります。この間に幾つかの論文や書物も書いてきましたが、振り返ってみて四十年前と現今では、子どもたちの状態が大きく変わってきたという印象を強く受けます。これにはいろいろな要因が関係していると感じますが、いずれにしても、日本の将来を考えると、安閑としてはおれない状態に急速に変わってきています。

 ちなみに、ことばの遅れた子どもを診ても、医学的に単純に説明がつかないとか、あるいは障害ともつかないタイプのコミュニケーション障害児が増えてきました。このような子どもを診るにつけ、これまでの言語障害児論は現実に合わなくなってしまったことを痛感します。

 このように日々感じていたところ、このたび中川信子さんが中心となって「子どもの発達支援を考えるSTの会」を設立されるとの案内を頂き、全く時宜を得たものとして嬉しく思います。STとしての中川さんの子どもの発達支援についての考え方には、私も多々共鳴するところがあります。それだけにこの会の発展に期待するところ大きく、応援を惜しみません。

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子どもの発達支援を考えるSTの会
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