8月のコラム


「旅するSTのひとり言」

 札幌を中心に全国を旅する子どもSTの大塚紗弓です。今月5本目のフライトとなる新千歳から羽田へ向かう機内でこのコラムを書いています。私は元々、北海道内の児童デイサービスや子ども発達支援センターの立ち上げや専門学校の教員をしておりました。中川信子先生には10年以上前に北海道の片田舎、新冠(読めたら北海道難読地名検定1級です)へ講演に来ていただいたことがあり、そこからのご縁で子どもST会の名ばかりですが運営委員を仰せつかっております。
 而立の年に独立し、現在は健康面、経済面、精神面など多角的な子育て支援事業や、再生医療関連の医療機器の取り扱い等を手掛けています。プライベートではセルフ精子提供で授かった2人の息子たちを未婚で育てる「戦略的シングルマザー」です。しばしばメディアに取り上げていただくことがありますので、その度に知名度向上に一役買えればと「小児専門の言語聴覚士です!」とお伝えし、会の広報担当として首の皮一枚ですが関わらせていただいております。

 今回は貴重な機会を頂きましたので、皆様もきっと感じているこのコロナ禍における子ども達の育ちへの危機的な影響について私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 まずはマスクの影響についてです。最初に感じたのは「口腔内衛生の悪化」でした。口臭が強くなり虫歯の進行が早いと感じます。歯科受診も「不要不急」と親御さんが尻込みしているケースも多く見られました。歯磨きをしていたらSTの時間がなくなるので、歯科衛生士とタッグを組んで一緒に訪問へ行っています。
 次に、小児にも過剰で根拠に欠ける感染対策が横行し、開口・流涎のあるお子さんに対してまでほぼ強制的にマスクを着用させている事業所が目立ちます。その理由も全て大人の都合によるもので真に子どもの発達を考えた対策ではありません。ただでさえここ3年は家族以外のロ元を見たことがない子どもたち。せめて私のSTの時間だけはと、施設と親御さんの許可をいただいて私も含めノーマスクで本来の生のコミュニケーションを大切にしています。きっと近い将来でノーマスクの世の中になることを切に望んではいますが、今言語発達の最中である子ども達を無視することは到底できません。どのお子さんにとっても健全な言語発達の環境をいかに確保するかが現在のSTのキーポイントですので「言い訳しないSTスタイル」を貫いています。

 さて、話はガラリと変わりますが、発達障がいの根本治療に自己幹細胞を用いた再生医療が適応されているのをご存知でしょうか。米デューク大学では自閉スペクトラム障がい児へ幹細胞治療を施したところ、視線が合う、言語表出が促進されるなどの劇的な効果が得られたとのことです。「生まれつきだから治るものではない」と環境調整や対症療法が中心となることが多い教育分野。今までも食養生などで体質改善することで状態が良くなることはありましたが、これからは遺伝子治療再生医療の発展により治療可能な疾患の幅が大きくなります。
 SDGsと同じグローバル目標の1つであるムーンショット計画には、「2040年までに負荷を感じないリハビリによって身体機能を回復させることができる社会を目指す」と明記されています。私たちの職域も大きく変化する時代へ突入しています。人間の身体はまだまだわからないことだらけで可能性に満ち溢れています。専門家として常に最新の知見に目を向けながら子ども達の成長に負けないように日進月歩したいものですね


※上記の「治す」という部分については、医学的な見地からのことばであり、障害について多様性の尊重、違いを認め、人間を優劣で見ないという考え方を否定するものではありません。
ご理解いただきますようお願いいたします。


2022年8月 子どもの発達支援を考えるSTの会 運営委員 大塚 紗弓 





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